書籍の内容
『種の起源』 に先だつ1844年、一冊の書物がイギリス社会を大きく揺さぶった。ジャーナリストが著したこの驚異的なベストセラーの何が問題だったのか。論争の丹念な分析を通して、進化論の争点と受容のプロセスを明らかにするとともに、自然神学を背景に専門領域として確立しつつあった当時の科学のあり方を照射する。
書籍の目次
序 章 1844年: 進化論争の勃発
1 種の概念の確立
2 フランス啓蒙思想とラマルク
3 「転成」 と 「進化」
4 イギリスにおけるラマルク説
5 エジンバラの先進性
6 『痕跡』 と 『足跡』 の読まれ方
7 『種の起源』 の登場
第Ⅰ部 イギリスのラマルク
第1章 ラマルクの進化論
1 フランス啓蒙思想と進化論
2 ラマルクの生涯と業績
3 『動物哲学』 の進化論
4 ラマルクの進化論の影響
第2章 イギリスのラマルク派とラマルク批判
1 ジェームソンの生涯と業績
2 キュヴィエ著 『地球の理論』 のジェームソン注釈
3 1826年匿名論文 「地質学の特徴と重要性についての所見」
4 グラントの生涯と業績
5 「デザイン論」 と 「プランの一致論」
6 グラントのラマルキズム
7 フレミングの進化論批判
8 ライエルのラマルク批判
9 ラマルク批判の横行
第Ⅱ部 『痕跡』 と 『足跡』
第3章 チェンバーズと 『痕跡』
1 チェンバーズ立志伝
2 チェンバーズと骨相学
3 『痕跡』 の執筆
4 『痕跡』 の改版
5 チェンバーズの地質学研究
6 『痕跡』 後のチェンバーズと心霊主義
7 『痕跡』 の内容
第4章 『痕跡』 の衝撃
1 発行部数と書評
2 匿名性
3 『痕跡』 のさまざまな読まれ方
4 続出した 『痕跡』 批判
第5章 スコットランド自由教会の科学者たち
1 チャーマズの科学論
2 ブルースターの自然神学
3 フレミングの大洪水説批判
4 自由教会の 『痕跡』 批判
5 福音主義と科学
第6章 ミラーの地質学
1 「一労働者による地質学の模索」 (1838)
2 地質学研究の支援者たち
3 イギリス科学振興協会1840年グラスゴー大会
4 チェンバーズとの交流
5 マーチソンと旧赤色砂岩
6 旧赤色砂岩の化石魚類
7 主著 『旧赤色砂岩』 の概要と特徴
8 『旧赤色砂岩』 の進化論批判
9 『旧赤色砂岩』 第三版の修正とロバート・ディック
10 ミラー地質学の意義
第7章 ミラーの反進化論 —— 『足跡』 を中心に
1 1848年オークニー諸島探訪
2 『創造神の足跡』 の概要
3 『創造神の足跡』 第五版 (1861)
4 ブルースターの書評
5 『岩石の証言』
6 『創造神の足跡』 と 『岩石の証言』 の受容
7 チェンバーズのミラー批判
第Ⅲ部 ダーウィン前/後
第8章 オーエンと進化論
1 オーエンの生涯
2 1830年代の転成論批判
3 『痕跡』 に対するオーエンの反応
4 1849年 『四肢の本性』 の結論
5 ダーウィン進化論への対応
第9章 マイヴァートの動物学
1 グルーバー以降のマイヴァート研究
2 マイヴァート小伝
3 マイヴァートの著作
4 霊長類学
5 脊椎動物の骨格
6 動物学の啓蒙と進化論
7 科学論
第10章 マイヴァートのダーウィニズム批判
1 1869年の自然選択説批判
2 『種の誕生』 の構成
3 列記された難点
4 『人間の由来』 批判
5 ダーウィン支持者ライトの反論
6 ダーウィン本人の反論
7 持続したダーウィニズム批判
終 章 さまざまな進化論
1 『種の起源』 の新しさ
2 スペンサーの万物進化論
3 さまざまな進化論・さまざまな創造論
4 日本の進化論
5 生物学の 「進化」 と常識の 「進化」
補 論 明治のチェンバーズ —— 『科学入門』 と 『博物新編補遺』 をめぐって
1 チェンバーズ 『科学入門』 と明治日本
2 『科学入門』 の構成と諸版の比較
3 横浜印刷版 『科学入門』
4 『科学入門』 の内容
5 『科学入門』 と骨相学
6 『科学入門』 の図版
7 『博物新編補遺』 の内容
8 『博物新編補遺』 の原書
9 『博物新編補遺』 と 『博物新編』


